30年以上にわたる日本経済の長期低迷や、老後資金 2000万円問題、経済的な格差拡大、少子高齢化問題、新型コロナウィルスの世界的な流行と蔓延、今年2022年に入ってからのロシアのウクライナ侵攻や台湾問題をめぐる米中対立、世界的なインフレの加速、記録的円安など、国内外で深刻な政治・経済の問題が一気に吹き出している中、現在の生活や老後の不安の高まりもあり、何らかの投資を始めようと考えている方も少なくないかと思います。
私自身も労働収入からの貯金だけでは、明るい未来が期待できないと考え、約3年前から投資を始めました。
投資歴は約3年と短いのですが、自分自身の成功と失敗を振り返り、投資をこれから始めようとする方(または、何年も投資を続けているが運用が全く上手くいかず、資産を溶かしてしまっている方)に向けての注意点について書きます。
① 最初にデモトレードで練習する
もし、あなたが投資対象として「株式投資」か「FX(外国為替取引)」を検討しているのであれば、証券会社やFX会社によっては、「デモトレード機能」を提供しています。
デモトレードとは、簡単に言うと、実際に資金を投じて株取引なりFX取引に取り組む前に、チャートを見ながら無料でトレード(売買の取引)の練習が体験できるツールのことです。勿論、練習ですので、利益を出しても受け取れませんが、逆に損失を出しても支払う必要はありません。
いきなり資金を投じるよりも、まずは実際にトレードというものが良く分かりますし、自分がトレードに向いているのか、向いていないのかということも分かると思いますので、デモトレードを利用するのはありでしょう。
但し、デモと実際のトレードでは、実際のお金が掛かっているか否かで、心理的には大きな違いがありますので、デモトレードでは上手くいっていたのに、実際のトレードでは全く上手くいかないということも十分あり得ます。
また、「株式投資」の場合、頻繁にトレード(売買)をするつもりはなく、ご自身で将来的に株価が上がると見込んだ企業の株やインデックスファンドなどを定期的に少しずつ買い増ししていく投資スタイルで、数年から数十年単位の長期投資を考えている場合は、デモトレードは必要無いでしょう。
② 投資系インフルエンサーに影響を受けすぎない
これについては、別の機会に詳しく書きたいと思っていますが、今の時代、自分から情報発信したい人にとっては、「YouTube」や「TikTok」などの動画配信サービス、「Twitter」、「Facebook」、「Instagram」、「LINE」などのSNS、そして「ブログ」など個人でも国内外に広く発信できる様々なサービスが存在します。
そして、投資の分野でも、有名か無名か、プロかアマかを問わず数多くの人が、投資に関する情報や意見を上記のようなサービスを通じて発信しています。
その目的も人それぞれで、単に自分の分析や意見を発信したい人もいれば、発信者自身が投資関連の会社をやっていて見込み客の集客をしたい人もいれば、個人で有料の会員サービスやオンラインサロンの集客をしたい人、はたまた投資詐欺の手口として利用している犯罪者もいます。
特に、投資を始めようかと考えている人、投資初心者、投資が上手くいっていない人、投資関連の本を読むなどして自分で勉強をしていない人などは、例えば、YouTubeであれば、登録者の多い投資系YouTuber、所謂、投資系インフルエンサーを見つけて、その人の配信する動画の内容が自分の知らないことばかりだったりすると、「この人は有益な情報を無料で発信してくれている」などと考えて、その人の市場分析や意見を鵜呑みにして、トレードしてしまうということもあり得ます。
但し、どんなに登録者数の多いインフルエンサーでも、その人自身が常にトレードで勝てるなどということはあり得ないし、もし、あなたが或る投資系YouTuberの意見を信じて、投資した結果、大損失を被ったとしても、その投資系YouTuberは一切の責任を取ってくれません。
投資は自己責任でやるものだからです。
もしもあなたが信頼できると思える投資系インフルエンサーを見つけたとして、そのインフルエンサーの分析や意見を参考にするのはよいのですが、そのインフルエンサーの言っていることに依存したり、影響を受けすぎることがないようにするべきでしょう。
あなたの行った投資が、どのような結果になったとしても、その責任は全てあなた自身にあるということだけは絶対に忘れないで下さい。
③ 自分で勉強して、自分の頭で考える
投資をするなら、例えば、あなたの投資対象が株式投資であるなら、少なくとも、まずは「はじめての株式投資」的な入門書は最低限読んでおいた方が良いでしょう。
もし、更に勉強したいと感じるなら、投資初心者向けの本にとどまらず、色々な投資関連本やプロトレーダーが愛読しているような本を読むのもよいでしょう。
「最初に投資の入門書だけ読んで、その後は投資関連の本も読まず、他の投資家の話なども参考にせず、実際のトレードの中で試行錯誤して、大金持ちになりました」みたいな人も世の中にはいますが、私個人としては、そういう人たちは本当に稀な一握りの天才だと思っています。
実際に投資で大成功を収めた人たちの著書を読んでみれば、そんなに簡単に大金持ちになれたわけではなく、その裏には並大抵ではない勉強や努力や苦労があったことを知ることになるでしょう。
④ 余裕資金(=全て無くなってもよいと思えるお金)で投資する
投資をするにあたって、間違っても全財産を突っ込むような馬鹿なマネはやめましょう。
損失金額によっては本当に人生が詰みます。
試しにグーグルで「投資 全財産溶かした」とか「投資 人生終了」とか「投資 人生詰んだ」等のキーワードで検索してみて下さい。他人事ながら目を覆いたくなるような悲惨な話が山ほどヒットしますから。
私は資金90万円から仮想通貨投資を始めましたが、これから投資を始める方でほぼ何もわからない状態からスタートするのであれば、10万円〜20万円ぐらいの資金で「最初は損して全部失ったとしても色々勉強出来ればいい」くらいの気持ちで始めるのが宜しいかと思います。 そして、実際のトレードや勉強を通して色々なことが分かってきて、自分で「投資が向いている、投資を続けていこう」と思えたら、徐々に投資金額を増やしていけばよいのではないでしょうか。
⑤ ハイレバレッジの取引はやらない
投資を始めたばかりの人が、大した知識もない状態で、一攫千金を狙ってハイレバレッジの取引をするようなことは、リスクが大きく危険なので、やらないことを強くおすすめします。
例として、FXの場合、金融庁の規制により、日本国内のFXの最大レバレッジは25倍となっています。
具体的には、10万円の保証金で25倍のレバレッジをかけて取引を行う場合、250万円分の取引を行うことが可能となります。
海外のFX業者だと、レバレッジ100倍以上といったとんでもないレバレッジ取引が出来たりしますが、レバレッジ100倍ということは、レバレッジ1倍(レバレッジなし)の取引と比べて、利益が100倍になる可能性もあるけれど、逆に損失が100倍になる可能性もあるということです。
投資対象がどのようなものであっても、初心者のうちは現物取引、もしくは、低レバレッジの取引をおすすめします。
投資歴の長い経験豊富な投資家でも現物もしくは低レバレッジの取引しかしない人も多いですし、もっと言えば、ヘッジファンドや投資運用会社などの機関投資家でも、その多くが低レバレッジでトレーディングをしていると何かの本で読んだ記憶があります。
日本国内でも海外でも、ハイレバレッジ取引の大損失の結果、とても返済できない程の借金を背負って、家庭が崩壊したり、最悪、自ら命を絶つ人さえいるということを心に留めておいて下さい。
⑥ うまい話には絶対に乗らない
投資詐欺や詐欺まがいの儲け話には、くれぐれも気をつけて下さい。
年がら年中ニュースにもなっているので、インターネットで「投資詐欺」等のキーワードで検索してみて下さい。
くれぐれも「自分だけは引っ掛かるはずがない」などとは思わないように。
私の実体験を話すと、ある日突然、海外から英文メールが届いたり、利用しているSNSサービスにDMが届き、その内容が投資についての儲け話ということが何度かありました。当然、全て無視しています。
実際、投資で本当に儲かっている人は、他人に儲け話などしないで、専業トレーダーとして、自分一人で儲けているような人が多いと聞きます。
神様でもない限り、投資に「絶対に儲かる」などということはあり得ません。
世界レベルの大金持ちや有名な投資家でさえ、投資の失敗で一文無し、または、多額の借金を背負うまでに転落した例だって珍しい話ではないということは歴史が証明しているのですから。
最後に
結局、投資は自己責任でやるものであり、様々なリスクを認識した上で、自分自身の判断と責任に基づいて行なわなければならないということです。
いかなる理由であっても、投資を行った結果として(利益ではなく)損失が出た場合に、他人や外部要因のせいにするような人には、そもそも投資を行う資格はなく、投資などしようと思わない方がご本人のためです。
逆に、「投資は自己責任」という原則を理解し、様々なリスクを認識・許容した上でリスク管理できる人にとっては、今までの資産形成の方法が貯蓄のみだった場合、資産形成の新たなオプションとなる可能性を秘めていると言えるでしょう。
私自身、昨年は投資で数百万円の利益が出て、今年は現時点で数百万円の損失が出ているのですが、投資を始めてから、経済の仕組みなど色々と学ぶことができましたし、投資を始めてよかったと思っています。