今回は、「とんび」という小説をご紹介したいと思います。
「とんび」
重松 清 (著)
出版社: 角川書店(2011/10/25)
ISBN-10: 4043646070
ISBN-13: 9784043646074
本書の裏表紙には、以下の内容紹介が記載されています。
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう―。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。
本書の内容を簡単にざっくりと言ってしまえば、家族三人で幸せな日々を過ごしていた主人公のヤスさんが、不慮の事故で愛妻を失くし、残された幼い息子のアキラを育てた半生と、親子の絆、そして、二人を温かく見守る周囲の人たちとの愛情の物語です。
因みに、ホリエモンこと堀江貴文さんが、著書「ゼロ―なにもない自分に小さなイチを足していく」の中で、刑務所に収監されていた間に読んだ1,000冊に及ぶ本の中で最も感動した小説として「とんび」を挙げていて、“本を読んでこれほど泣いたことはない、というぐらい滂沱の涙を流した”とのこと。
「とんび」は、あの超合理主義の堀江さんさえも感動し、泣いたということですが、本当に読んでいて何度も泣いてしまいます。
プロットが秀逸で、知らず知らずのうちに物語の中にどんどん引き込まれて行きます。
ページ数は400頁強ありますが、夢中になって、一気に読み終えることができました。
親子の絆を主軸に、周囲の人々の優しさ、それぞれの登場人物の喜びや悲しみといった感情を見事に描いた感動作であり、読後はとても爽やかな気持ちにさせてくれる作品です。
因みに、本書はNHKとTBSでドラマ化されています。
私はTBS版ドラマの方しか観ていませんが、このドラマでも、何度も涙腺が緩んでしまいました。
原作中の幾つかの感動的な場面が、とても上手く映像化されています。
【TBS版】
【NHK版】
今年2022年4月には、映画も公開されました。(初映画化)
【映画】
ドラマ化や映画化される小説というのは、大抵「エンターテインメント性が高い作品」か「感動的な作品」のどちらかですが、「とんび」は明らかに後者です。
重松清さんの作品は、温かくて、切なくて、人間への愛を感じる作品が多いです。
「とんび」を読んで感動した人は、きっと彼の他の作品も読みたくなることでしょう。