多くの社会人を悩ませているのが、職場内におけるパワハラやセクハラ被害、また、パワハラとまでは言えないまでも、当たりが強い上司・先輩・同僚・後輩・部下との人間関係におけるストレスではないでしょうか。
私自身の実体験としては、長い社会人生活の中で、ほとんどの同性(男性)の上司・先輩・同僚・後輩・部下とは、どこの職場でも大体良好な関係を築けていたのですが、女性の上司・先輩(特に40代後半から50代の女性)とは、険悪な関係とまでは言わないまでも、何だか棘のある言い方をする人やそりが合わない人が何人かいました。
その中で、一人とんでもないパワハラ女性上司がいました。
当時50代の女性上司で、私よりずっと年上の人でしたが、本当に理不尽なパワハラを受けていました。
その上司は割と高い役職に就いていたこともあり、職場の中で彼女を注意できる人がほとんどいない状況でした。
そして、本人も自分がパワハラをしているなどという自覚は全くないようでした。
因みに、この女性上司からは、私だけでなく、同じ部署の他の人たちもパワハラ被害を受けており、他部署の人たちからも「怖い人」と思われていました。
彼女の場合、少しでも自分の思い通りにならないと(相手側の気持ちや言い分は無視して)怒り、人のミスに対してはちょっとのミスでも烈火のごとく怒り、他の人から指摘された自分のミスは大きなミスであっても自分で対処して、後は何事もなかったかのようにスルーする、といったタイプの人でした。
また、その上司は、自分が部下に指示した仕事について、100%自分の思い通りになるまで、やり直しをさせていました。
正直、完全な意思疎通、以心伝心などあり得ないわけで、「それなら部下に任せた仕事が80%〜90%ぐらい納得いく内容なら、後は自分で引き取って、自分の気に入るように手直しすればいいじゃん!」といつも思っていました。
こちらは他の仕事もあるのに、彼女が100%求めるように仕事を仕上げる為に、膨大な時間を奪われていました。
その上司さえいなければ、職場環境も良かったのですが、会社で彼女の顔を見るのかと思うと、毎日が憂鬱な日々で嫌で嫌で仕方ありませんでした。
その頃は、毎日帰宅すると、その女性上司に対する怒りが再燃し、部屋着に着替える時に、彼女への怒りをぶつけるかの如く、着ていたシャツやら下着やらを洗濯カゴに思いっきり投げつけていました。
しかし、今振り返ってみると、この行為こそが、ほぼ毎日続いた酷いパワハラに対処する為の、私のストレス発散方法になっていたのだなと。
そして、この単純で簡単なストレス発散方法によって、パワハラに耐え続けることができ、且つ、私の精神の安定が何とか保たれていたのでした。
私の場合は、人間関係や心理学に関する本を読むようになったことで、ふとその上司のことを思い出した時に、「なるほど、あの人はアンガーマネジメント(アンガーコントロール)が全くできない人だったのだな」と客観的な視点で理解することができました。
同時に、私の中では、その女性上司は、ただの「怒りのコントロールが出来ない可哀想な人」となりました。
人間関係のストレスの中でも、会社員にとって、職場におけるセクハラ、パワハラは深刻な問題で、これらのハラスメントは、上司と部下の関係で発生し、役職的に立場が弱い部下の方が被害者であることが多いです。
近年ではセクハラ、パワハラの加害者に対して厳しい対応を取る企業も増えてきているようには見受けられますが、組織の体制がしっかりしていそうな大手有名企業でも、パワハラによる自殺のニュースが報じられるぐらいですから、本当に深刻な問題です。
強靭なメンタルで上司などからのハラスメントも上手くスルーできるような猛者もいるでしょうが、そういった人は圧倒的に少数派であり、そもそもそのようなタイプの人は、ハラスメントのターゲットにはなりにくいですよね。
セクハラ、パワハラのターゲットにされるのは、以下のような特徴に複数当てはまる人が多いのではないかと思います。
・おとなしい
・気が弱い
・真面目
・優しい
・お人好し
・従順
・我慢強い
・周囲に対して過度に気を使う
・争いや対立を好まない
・理不尽なことや失礼なことを言われても反抗せずに飲み込んでしまう
・(内心では憤りを感じていても)怒らない
・不満を口に出せずに心に留める
・責められると(自分は悪くないと思っていたとしても)すぐに謝ってしまう
・自分さえ我慢すれば全て丸く収まると考える傾向にある
・頼まれ事を(断りたい時でも)断れない
これらの特徴は、学校でいじめに遭いやすい子供の特徴とも被るのではないかと思います。
それから、特定の個人に対してではなく、自分より立場が下の人であれば誰に対しても高圧的な態度で接してくる根っからのパワハラ気質の上司というのもいます。
こういうタイプの人間が上司になると、パワハラのターゲットになりにくいような人であってもパワハラ被害に遭う場合があります。
自分がハラスメントのターゲットになりやすい人は、ハラスメント(特にパワハラ)を行っている側が、上司など立場が上の人の場合、怒られたり、怒鳴られたり、嫌がらせされたり、嫌味を言われ続けても、「自分の方が悪いのかな?」、「自分に至らない点があるではないか?」などと思い込む傾向があると思います。
本当に自分の責任である部分があるなら、それは改善して行かなければならないでしょうが、休日などにゆっくりと客観的に自分の現状を見つめ直して、自分がパワハラを受けているのかどうか、冷静に考えてみることは大事だと思います。
もっともセクハラについては、加害者の言動や行為から判断して、それがセクハラであると認定しやすいと思いますが、パワハラの場合は、それがパワハラにあたるのか、それとも「厳しめの指導」なのかの判断が難しい場合もあると思います。
実際に私がいた職場で、上司や先輩社員たちから指示された仕事を遂行できていないにもかかわらず、少し厳しく注意されたことに対して、被害妄想的でヒステリックに「パワハラされた!」と騒ぎ立てた人がいました。
他には、勤務先の別の支社で、中途入社してから一年以上経っても全く仕事が出来るようにならない社員がいて、上司がその社員を叱責したところ、「パワハラされた!」と会社(の人事部?)に訴えた為、それ以降、上司がその社員に対してあまり注意が出来なくなってしまったという話を伝え聞いたことがあります。
このような例もあるので、「パワハラ」と「厳しめの指導」の境界線は難しい場合もありますが、「パワハラ」か「厳しめの指導」かは、周囲にいる複数の第三者がどう捉えているかでジャッジできることが多いと思います。
程度の差こそあれ、パワハラに日々耐えながら仕事をされている会社員の方は少なくないでしょう。
数年ごとに部署異動や転勤がある職場であれば、それまで我慢するというのも一つの選択肢です。
実際、セクハラやパワハラ被害で上司や会社を訴えるとか、会社の人事部に相談するというのは、人にもよるでしょうが、一般的にはそれなりに覚悟がいる行為だと思います。
会社の人事部に相談したところで、「果たして会社は自分の味方になってくれるのだろうか?」とか「相談したことによって、かえって自分が不利な立場に追いやられてしまわないだろうか?」などと不安も大きいと思います。
会社の人事部に相談することを検討するのであれば、自分の勤めている会社が、ハラスメントに対して、公平で厳しい態度で対応している前例があるかどうかも考慮した方がよいかもしれません。
実際のところ、退職・転職についての様々な調査において、本音の退職・転職理由として「上司と合わない」・「職場の人間関係」は、常に上位にランクインしているようですが、それらの中には、ハラスメント被害にあって、退職・転職される方も相当数含まれるのではないでしょうか。
私の友人から聞いた話ですが、彼女の会社では、ある部署だけ突出して離職率が高かった為、会社の上層部が調査に動いて、その部署のトップの人間のパワハラが原因だったという調査結果が出て、そのパワハラしていた上司は、降格処分となったそうです。
ハラスメントが原因で転職したとしても、転職先の会社にもハラスメントしてくるような人間がいないとも限りませんし、それ以外の部分で転職前の会社より給与・待遇・環境面が悪くなることもあるので難しい問題ではありますが、自分の年齢・スキル・経歴等を客観的に判断して、すぐにでも転職先が見つかるような人ならば、転職するのもアリだと思います。
職場でのハラスメントにどう対処するかは、いざ自分が当事者の立場となると大変難しい問題ですが、追い詰められて一度精神を病んでしまうと、そこから元の精神状態に回復するまでに長い時間が掛かってしまうとか、最悪の場合、社会復帰出来なくなってしまう可能性だって考えられるので、そうなる前に何らかのアクションを取るべきでしょう。