今回は、「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」という本をご紹介したいと思います。
「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」
河合 雅司 (著)
出版社: 講談社 (2017/6/14)
ISBN-10: 4062884313
ISBN-13: 9784062884310
【内容】
本書は、産経新聞論説委員で、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)でもある河合雅司さんの著作で、既に少子高齢社会であり、今後も人口減少が続いていく日本の未来予測を年表形式で紹介し、それらの問題についての対策を提示しています。
出版元の講談社ホームページに本書の内容紹介があります。
<主な内容>
第1部 人口減少カレンダー
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
・・・ほか
第2部 日本を救う10の処方箋 ――次世代のために、いま取り組むこと
「高齢者」を削減/24時間社会からの脱却/非居住エリアを明確化/中高年の地方移住推進/第3子以降に1000万円給付
・・・ほか
【感想】
この本を読んで、統計やデータとともに示される日本の未来予測に非常に大きな衝撃を受けました。
本書を読めば、多くの人が「このまま行くと国が立ち行かなくなる程、日本の将来は、極めて深刻な状況になる」という確信を持つのではないでしょうか。
日本においては、もはや国・政府を頼れる状況ではなく、国民一人一人が将来を真剣に考えて、自分や家族の生活を己の力で守る必要がある段階に来てしまっているという強い危機感を私は持ちました。
著者の未来予測は、各省庁や研究機関等が公開している統計やデータに裏打ちされた分析なので、将来、現実となる可能性が高いのではないかと思います。
できることなら外れて欲しい予測ばかりですが、日本にとって神風といえるような、外的要因による何らかの奇跡的な大変化が日本社会にもたらされるか、政府が現時点で予測できている将来の諸問題に対して、今すぐにでも真剣に取り組まない限り、残念ながら本書の示すとおり、日本の未来は非常に暗いものとなるでしょう。
世の中の流れに身を任せているだけでは、未来のどこかのタイミングで、日本国民が国と一緒に共倒れになる恐怖を感じました。
本書は2部構成になっていて、「第1部 人口減少カレンダー」に記されている日本の未来予測は、背筋が凍るような衝撃的な内容です。
しかし、その一方で、注意深く読んでいくと、少子高齢化が引き続き進行する今後の日本で、どのようなビジネスの需要が高まるのかといったヒントを得ることもできました。
「第2部 日本を救う10の処方箋 ――次世代のために、いま取り組むこと」に書かれている内容については、日本政府や各自治体が、ここで提案されているような改革や施策を取るのは、実際問題として非常に難しいだろうと感じました。
もっと言えば、ここで提言されている対策案についての、私個人の率直な感想は、「ほぼ実現不可能だろう」です。
著者の提案する「日本を救う10の処方箋」は、提言自体は素晴らしいものが多いのですが、今の日本政府や各自治体が、それらを実行できるとは、私には到底思えませんでした。
そして、若い世代の人達になればなるほど、より過酷な未来が待っていて、自分の身は自分で守るしかなく、それができない者たちは、暗く悲惨な生活を余儀なくされることになる、と思わずにはいられませんでした。
私自身、本書を読んだ後で、徐々に悪い状況になっていくこれからの未来を如何に生き抜いていくかを自分の頭でよく考え、自分なりに出来る限りの対策を取り続けて生きて行こうと強く思いました。
40代以上の方には、現時点での人生計画の見直しの参考に、それより若い世代の方には、今後の人生設計の為に、この本を読まれてみてはいかがでしょうか。
また、世代に関係なく、少子高齢化が益々進んで行く日本社会の将来に漠然とした不安を感じている方や、自分が世の中の流れに流されるままに毎日を何となく過ごしてしまっていることに焦りを感じている方は、本書を読むと、大きな危機感を持たれることになるかと思います。
それと同時に、「これからの人生をどのように生きていくべきか?」という自分自身への問いかけに対する、大きなヒントを幾つも得られることでしょう。