今回は、「バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか」という、そのタイトルどおり「繁栄と富と幸福の原則」について書かれた本をご紹介します。
「バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか 」
ジョージ・S・クレイソン (著), 大島 豊 (翻訳)
出版社: グスコー出版 (2021/5/15)
ISBN-10: 4901423274
ISBN-13: 9784901423274
「バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか」（原題「The Richest Man in Babylon」）は、1920年代の発表当初はパンフレット形式で発行され、その後、評判が一気に広がり、書籍として刊行されたそうです。
それ以降、現在に至るまで1世紀近くにわたり、欧米を中心に世界中で多くの人々に読まれ続けている名著です。
本書は、莫大な富を持ち、当時、世界で最も裕福な都市と言われ、繁栄していた古代都市バビロンを舞台にした、物語仕立ての蓄財哲学・成功哲学書です。
古代都市が舞台の物語にもかかわらず、現代社会、それも今現在の世界に非常に似通っているところが面白いなと思いました。
それは、古代において世界で最も裕福と言われたバビロンでは、まるで現代の多くの資本主義国家、及び中国、そして、今の日本のように、「格差社会」だったことです。
経済における「格差社会」は、何も現在の行き過ぎた資本主義によってのみもたらされるものではなく、歴史を振り返れば、過去にも多くの国や地域で「格差社会」は存在していました。
本書は古代バビロンを舞台にした物語であり、また、本書が書かれた1920年代と現在を比較しても、社会的背景に大きな違いがあるので、書かれている内容の全てが現代にもピタリと当てはまるわけではありません。
例えば、本書の物語の中に、バビロンの大富豪アルカドの「富をもたらす黄金の『七つの智恵』」というものがあり、その一つに「自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ」とありますが、今の社会においては、住宅を購入することは有益な投資と言えるかどうかは、人によって意見が分かれるところでしょう。
しかしながら、本書に記されている「繁栄と富と幸福の原則」は不変であり、それらは現代社会にも当てはまり、十二分に通用するものであると思いました。
本書は、大富豪アルカドの話だけではなく、他の人物たちの物語も含まれていますが、話を変えながら、重要な「繁栄と富と幸福の原則」を繰り返し説いています。
誤解を恐れずに言えば、本書には、主に以下のようなことが書かれています。
・稼いだ金の1割は貯金し、更に借金（現代ではローンも含む）があれば、能力の及ぶ限り早期に返済し、その後に残った金のみで生活をやり繰りする。
・貯金が貯まったら投資に回す。（但し、投資先は慎重に見極め、危険な投資などの損失リスクから大事な財産を守りながら、健全な投資をすること。）
・今から将来に備えて準備する。
・懸命に働き、その中でよく学び、自分のスキルを高めて、目的と自尊心を持って生きる。
特に、他人と比べて、とりわけ高い能力や才能に恵まれているわけでもない凡人が、お金持ちになりたければ、本書で述べられている方法を実践していくことが、堅実で実現可能性の高い方法の一つだと思いました。
非常にシンプルでまっとうなことが書かれていて、資産を築く上での正攻法であると言えるでしょう。（もちろん現在の社会情勢に合わせて、自分なりに考えて、アレンジしなければならない部分はありますが。）
また、本書は純粋に物語としても面白いので、成功哲学や自己啓発などに興味が無い人でも、楽しく読めると思います。
自分は本書に感銘を受け、内容を頭に叩き込むべく、CD-ROM版（MP3データCD）のオーディオブックも購入し、今も繰り返し聴いています。
世界経済と日本経済の先行き、自分を取り巻く現状、将来に対する不安はありますが、ただ心配しているだけでは何の解決にもならないので、本書に書かれているように、「懸命に働き、その中でよく学び、自分のスキルを高めて、目的と自尊心を持って生きよう」という気持ちになりました。
本書を読んでから、仕事やお金に対する私のマインドセットは確実に変わりました。
厳しい現状や、将来の予測が困難な「不確実性の時代」を生きていることに対して、ただ不安に怯え、悩むのではなく、「では、自分は今どうすべきなのか？」と、前向きに考えるようになりました。
老後の生活資金や今現在の生活のやり繰りなど、お金についての不安や悩みを抱えている人や、お金持ちになりたいと強く願ってはいるけれど、具体的に何をすればいいのか分からないという人にとって、本書は多くのヒントを与えてくれることでしょう。
